【連載第8弾はこちら!!】

今,この記事を僕は仙台で書いている.

まるで離島滞在が1年か2年前のことであるように感じてしまうくらい,
我々の日常や, 我々を取り巻く環境というのは,
瞬く間に姿を変えてしまう.

それはきっと, 旅をともにした友人も,
そして, コマ送りのように巡り続けるこの世間の中を
這いつくばって少しずつ進み続ける人たちも,同じなのだろう.

僕たちは, この「離島滞在」で何を見たのだろう?
僕たちは, この「離島滞在」で何を得られただろう?
僕たちは, どれだけ変われたのだろう?

帰りの高速船

首都圏へ向かう帰りの高速船の中, 僕たちは不思議なことに言葉を交わしませんでした.

目を瞑って到着を待つ僕と, 難しそうな数学の論文に目を通す友人.
もしかしたら僕たちは, 竹島桟橋(到着港)が着々と近づいてくるのと同時に,
ちょっと前まで当たり前のように過ごしていた「日常」の足音が聞こえて来ることに,
お互いの心のなかで,何となく気付いていたのかもしれません.

僕たちはまた,「それぞれの日常」に戻らなければならない.

高速船の中で,少しずつ僕たちは「日常」に潜り始めていたのでしょう.

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到着はあっという間でした.

つい1時間半前に, まるで時が止まったかのような小さな島を発った僕らは,
目の前を通り過ぎていく高層ビル群や,
首都高が複雑に絡み合うこの都会の景色を,
どうにも,上手く受け止めることが出来ませんでした.

友人「ついたぞ」
僕「おう」

船を降りた僕達を取り囲む景色は,何だか異世界のように感じられました.
時計の針のスピードが島の人々の気分にによって変わっているかのような
あの世界とは裏腹な,ルーティーンに刻み続ける「東京」の歩幅がそこにはありました.

帰りのバスは別々.
僕たちはゆりかもめに乗り込み, 別々の駅で降りることに.

友人「じゃ,また仙台で」
僕「おう」
友人「反省会だな」
僕「反省飲み会ね」

あれだけ濃密な時間を共有していたにも関わらず,
あまりにも淡白な別れ際…

2人の「離島滞在」は,こうして幕を閉じたのです.

新宿

僕はその後, 別の友人(旧友)と会ってお酒を飲むため,新宿へ.
新宿で旧友と合流した僕は, とりあえず行きつけの居酒屋に入りました.

僕と旧友「乾杯」

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僕「伊豆大島行ってきたんだ」
旧友「なんで?」
僕「ノリで. でも,なんか凄かった」
旧友「何が凄かったの?」
僕「異世界ってこんな近くにあるんだって」

旧友「ほうほう」
僕「なんか,時間止まってるみたいなんだよ. 競争とか, 潰し合いとか, 生き急ぎとか,あの島にはそんなの,多分無いんだと思う」
旧友「ほう…」
僕「漫画みたいな平和な世界なんだけどさ, 船で1時間半なんだ」
旧友「近いな」
僕「驚くよね.こんな近くに,ああいう世界があるって知れただけでも, 行ってよかったと思う」

まるで時差ボケのようなアタマ

僕は,仙台に戻ったら学習塾の経営を始めることが,
離島に滞在している時点で,既に決まっていました.

離島に行く前の僕の頭のなかというのは, けっこうそのことで一杯一杯で,
この旧友から見れば, 僕はまぁ随分と切羽詰まって,生き急いでいるように見えていたようです.

僕「もし塾経営失敗したらさ」
旧友「うん」
僕「伊豆大島移住して,文房具屋でもやろうと思うわ」
旧友「ほう」
僕「それはそれでアリなんだなってなんか思ったもん」

しかし,離島から帰ってきた僕といったらまぁ,
すっかり体中から力が抜けてしまったように見えたようです.

旧友「なんかさ」
僕「うん」
旧友「離島行く前と変わったよね」
僕「そうかな」
旧友「めっちゃ変わったよ」
僕「まぁ,離島,全然違う世界だったからな…」

旧友「離島みたいなのんびりした感じのほうが良いって思った?」
僕「どっちが良いとか悪いとか,そういうんじゃないよ

エピローグ 〜僕たちの成長〜

伊豆大島では, 年に2人しか逮捕者が出ないらしいのです.
しかもそのうち1件は, 焼き鳥泥棒だとか…

そんな平和な島の中では, 警察の仕事がどうやら少なすぎるようで,
警察は常に島中をパトカーでパトロール.
我々はレンタカーを走らせながら,何度も何度もパトカーとすれ違いました.

そしてその度に, 警官が車の中から笑顔で手を挙げて挨拶をしてくれるのです.
どうやら, 「捕まえてやろう」とか,全く思っていないみたいでした.

パトロールだけではまだ仕事が足りないので,
港に船が発着するときの荷物の積み下ろしや
ご年配の方の乗り降りの手伝いなんかも, 警察がやっていました.

船に乗り込む前の会話

僕と友人は,最終日に波浮港を後にしたレンタカーの中で,こんな会話をしていました.

友人「この旅さ」
僕「うん」
友人「能動ってどんだけあったのかな」
僕「月と砂漠ラインが有名だったから…」
友人「俺達が最初に想定していた”能動”は, 多分ほとんどなかった」
僕「…よね…」

我々は, 何もないところから何か楽しみを生み出す,
それこそ, 誰も気づいていなかったところを見つけて楽しむという意味での
「能動的な旅」をするんだと, この離島旅行を敢行しました.

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しかし,我々が「発見した」と思っていた数々のスポットは,
結局のところ, 誰かによって既に楽しみ尽くされていたあまりに有名な場所ばかりだった.
そういう意味では, この旅が「能動的」だったかというと, 疑問が残る結果となってしまったのです.

が, 友人は続けて言います.

友人「でもさ」
僕「うん」
友人「能動とか受動とかじゃねーんだよ
僕「というと」
友人「全部受け入れりゃいいんじゃねーのかって. 俺今思ったんだよ.この島には,能動だって受動だってあった.能動と受動,すべて合わせて伊豆大島だったんだ.それでいいじゃねーか.」
僕「なるほど…」
友人「能動能動ってさ…“能動”に固執してる時点で, 俺たちは”受動”に縛られてたんだよ」

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僕「”能動的”って言葉に支配されてた段階で,俺たち未熟だったってことかも」
友人「そうだよ. この旅で俺たちは, それに気付いた.」
僕「すべてを受け入れ,すべてを楽しむ…」
友人「本当の自由って,そういうことじゃねーのかな

旅の最後,我々は何だか,
ある意味でこの旅の「コンセプト」を根本からひっくり返してしまうような,
しかし, 人生においてとてもとても重要な,
大きな大きなことに, 気づいたのです.

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友人「成長したんだよ,俺たち」
僕「そうだな」
友人「教えてくれたんだろうな, この島が」

僕達の離島滞在は, かけがえのない経験と,成長を持って幕を閉じたのです.

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ところで,能動はあったのか

僕「ところでさ」
友人「なに?」
僕「能動って結局あったのかな?」
友人「あっただろ」
僕「なんだろ」

友人「よっちゃんと…」

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僕と友人「カッパの水!!!」

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【完】

大変長らくにわたる離島滞在記,お読み頂きありがとうございました!!
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