僕は教育職に携わりはじめてから,数えるのが若干めんどくさくなるくらい年数が経ちます.
今もさまざまな子どもたちと関わりながら,勉強を教えたり,
勉強のやり方を教えたり,勉強の意味を教えたり…
(まぁ,上手く教えられているかどうかは,わかりませんが)
そんななかで,最近やたらと考えることが多くなったなぁということに,
「スマホと教育」がどうやって向き合って行けば良いか?があります.

教育者はときに,勉強の内容以外のことと
どうしても合わなければならないときがあります.

「教育者の仕事は,勉強を教えること」ではあるのだけど,
そもそも子どもの目線が「勉強」に全く向いていなかったら,
いくら勉強の中身を教えこんだところで,何も起こらないんです.
だから,そういう子には「勉強のほうを少しでも向いてくれるインセンティブ」を
与えてあげる必要がある.それも,場合によっては教育者の仕事です.

手のひらのUnixマシン

堀江貴文さんの以下のYoutube動画の内容はとても興味深いです.

「スティーブ・ジョブズの凄いところは,みんなに電話型のUN­IXのパソコンを持たせたこと」

この言葉は深いなぁと思います.
スマホというのは「電話型UNIXパソコン」だと.
でも,大衆は「UNIXパソコンですよ」っていうと食いつかないので,
ジョブズは「これは先進的な電話機」だと言ってiPhoneを売ったんだと.

スマホで出来ることは計り知れない

スマホで出来ることというのは,計り知れないほど多いです.
参考として,僕のスマホの使い方を列挙してみると,

  • 電話する
  • メール
  • インターネット (わからないことはすぐにインターネットで調べる)
  • LINE, FBmessenger (仕事の連絡も基本的にLINE, FBmessenger)
  • スケジュール管理
  • 銀行口座の管理 (じぶん銀行,楽天銀行)
  • 事業の記帳作業 (クラウド会計ソフト freee)
  • ニュースを読む (ニュースアプリを6つ併用している)
  • SNS (twitter, Facebook,instagramでさまざまなことを発信する)
  • 道案内 (iPhoneの道案内機能でどこにでも自由に行ける)
  • 仕事の進捗を共有する (cybozuliveなど)
  • 日々のアクティビティをAppleWatchと連携して記録する
  • Youtube等で動画を見る.
  • 写真をとる (ものの写真や,簡易メモとして使う)
  • 映像をとる
  • Evernoteでメモを取る
  • Dropboxでファイルを共有する
  • AirdropでMacbookとの間でファイルを送受信する
  • ほかに欲しい機能があったら,アプリをダウンロードする.

というふうに,数えきれないほどのことをスマホでしていて,
スマホが無くなったら,日々の仕事は少なくとも大部分成り立たなくなるだろうと思っています.
情報収集も,情報発信も,情報管理も,すべてスマホ.

コレほどまでに便利なツールを,誰もが持っている.

コレほどまでに便利なツールを,今の時代は小中学生を含めて誰もが持っています.
これを使えば,24時間いつだって数えきれないほどの情報を浴びることができるし,
わからないことはスマホですぐに調べることが出来る.
新聞を購読しなくたって,ニュースアプリでニュースを読むこともできるし,
クラス内のLINEグループで情報共有もできる.

この「スマホ」というツールを活用できない人材というのは,
これからの時代,まあ簡単に振り落とされてしまうんだと思う.
社会に出て「こんなことも分かんないのか」って,
いろんな人から色んな事で言われちゃうんじゃないのかな.

使い方を教えてあげられる大人

しかし,このスマホの「もはや使えないと話にならないほど便利だ」という側面に
きちっと気付いている大人というのは,まぁほとんどいないなぁ,というのが僕の実感です.
特に教育者は,スマホやインターネットのこと,ほとんど何も知らない.

だから,子どもたちは,大人からスマホの利用を制限される傾向こそあれど,
スマホを積極的に有効活用しなさいとはまず言われません.

「なんかよく分かんないし,課金とかtwitterとか危なそうだし,
スマホゲームで成績落ちそうだし,
連絡とか取るためにとりあえず持たせておくけど,あんま使うな!」

みたいな,大人のスマホに対する対応は,だいたいそんな感じだと思います.

よくない側面ももちろんあるけれど

スマホはあまりに便利で自由すぎるツールなので,その分よくない側面もあります.
たとえば,LINEを出会い系のように使っている学生がいたりとか,
スマホゲームにハマりすぎて勉強しなくなってる学生がいたりとか,
Youtubeにふざけた動画投稿して捕まったりしてる若者がいたりとか,
まぁ,そういうのがあるのは事実です.
んで,こういうところだけ見た大人たちが,こぞって「スマホは問題」「規制すべき」って言うんです.

でもさ,「危ないから使うな」で,本当に良いのかな.

「危なそうだから規制」じゃ何も始まらない

「スマホ利用」を規制することが,きちっと考えた末の結論なら別にいいと思うんだけど,
スマホやインターネットのことなんにも知らない大人たちが子どもに
「使うな!」「危ない!」って言ってるところばっかりが(少なくとも僕には)見えるから,
それは僕はぜったいに違うと思うんですよね.

だってそれは,「時代に乗り遅れなさい」って言ってるのと同じだよ.
危ないから使うなじゃなくて,「便利だけど危ないから,正しい使い方をしなさい」って,
大人はやっぱり言わなきゃいけない.
そこは大人がきちっとスマホやインターネットのことを知った上で,
正しく知識や使い方を子どもたちに教育してあげなきゃいけないと,僕は思っています.

その上で危ないことをやる子も,まぁ多分いるでしょ.
でもそんなの,今に始まったことではないです.
スマホ以前からそんなのあったし,「スマホやりすぎたら成績下がる」なんてのは,
「ゲームやりすぎで成績下がる」のと,構図としては一緒です.
そういう子たちには,適切な個別対応をしてあげれば良いんです.

スマホを規制するっていうのは,便利なところも危ないところもまるっと規制するってことですよ.
例えば勉強で分からないことがあっても,そんなことをはだいたいスマホで調べられる.
スタディサプリやらで,スマホの動画で学ぶことだって出来る.
クラス内の情報だって,過去問だって,LINEやDropboxでいつでもシェアできる.
スケジュールだって,スマホで管理できる.ニュースだってスマホで読める.
それも「まるっと禁止してしまうということなんだ」って,一回考えなきゃいけない.

こういう使い方を大人が教えてあげた上で,
ダメなことはダメだと,言ってあげなきゃいけないんじゃないかなぁ.
「課金はダメ!」「やりすぎはダメ!」
本当にそれでいいのかな.

めちゃくちゃ面白そうな世界につながってる手のひらの機械を,
何にも知らない大人から「使うんじゃない!」って言われて,言うこと聞くかよ.
僕は,多分聞かないなぁ.どんどんひねくれていっちゃうだろうな.

大人のリテラシー

こういう理由で,僕は教育をする側の人間(大人)のリテラシーが
きわめて深刻に足りていないと思っています.
特に学校の先生,たぶん「ほとんど何も知らない先生」が結構な割合でいるんじゃないか.
で,「ほとんど何も知らない」人が教育をすると,「ほとんど何も知らない」子どもが育つ.

だから,大人たちがもっと知らなきゃいけないんだろうなって僕は思っています.
例えば,Life is techのような取り組み(最近知りました)もあるけれど,
こういう取り組みをもっともっと広く,公教育も民間教育も行わなきゃいけないです.
(まぁでも,公教育は無理なんだろうなぁ)

そのためには,「大人への教育」と,「スマホやITのことを知ろうという大人の意識」
が必要不可欠だと思います.
じゃないと,いつまで経っても機械音痴の人材ばっかりが育っていく.
ICTの時代にそれで良いんだろうか.

適切なICT教育が整備されて欲しい

時代の先を切り拓く人材を積極的に育てる教育.
「規制」じゃなくて「正しい使い方」をきちっと伝えて行く教育.
そういうものが適切に整備されていくことを,切に願います.