経済全体がどのように動いているかを表す3原理

第八原理 一国の生活水準は財,サービスの生産能力に依存する.

生産性(productivity / 1人が1時間で生産できる財,サービスの量)
の成長率は,その国の平均所得の平均所得の成長率を決める.

ex) 2008年のアメリカ人の経金所得は約4万7000ドル,メキシコは1万ドル,ナイジェリアは1400ドル.この「生活水準の差」は,そのまま「各国の生産性の相違」として現れている.

アメリカでは,歴史的に見て所得の成長率は2%だった.この成長率だと,平均所得は35年毎に2倍になる.20世紀を通じてアメリカは,平均所得が8倍まで増大した.

第九原理 政府が紙幣を印刷しすぎると物価が上がる.

政府が紙幣を印刷しすぎると,経済全体の物価が上がる.
これをインフレーション(inflation / インフレ)と呼ぶ.
インフレは社会にさまざまな費用を課するので,インフレを低率に保つことは
世界中の経済政策立案者にとっての共通の課題である.

ex) ドイツでは,1921/1の新聞の価格が0.4マルク.1922/12には7000万マルクとなっていた.これは,大変極端なインフレの例である.
アメリカでは,1970年代に物価が2倍以上に上昇.ジェラルド・フォード大統領が「インフレは国民の最大の敵」であると語った.21世紀最初の10年は,インフレは年率ほぼ2.5%. 物価が倍になるのに30年ほど必要な,低インフレである.

第十原理 社会は,インフレと失業の短期的トレードオフに直面している.

インフレは以下のような短期的効果をもたらす.

  • 貨幣の供給が増大すると,支出を刺激するので財,サービスへの需要が増大.
  • 高水準の需要に,企業は財,サービスの価格を引き上げ,また,大量に生産をするようになる.
    これにより雇用が増える.
  • 雇用が増えることは,失業の減少をもたらす.

インフレーションが起こっていくのはこういう理由による.しかしながらこれは短期的効果でしかなく,しかもインフレは様々な社会的費用を課するので,低率に戻さなければならない.

では,インフレを低率に抑えるとどうなるか? それは以下のように説明される.

  • インフレを低率に抑えても,「長期的に見れば」社会的な費用が減少するだけなので悪いことはない.
  • しかし,短期的に見ると話が変わる.まず,貨幣供給を少なくすると給与と物価は「下がる」.
    はずなのだが,実際は価格には硬直性(rigorousness)がある.例えば,カタログの価格の印刷のしなおし,ECサイトの更新,価格設定の変更の会議などで「実際の市場価格がさがる」までには一定の時間を要する.
  • これにより,短期的には「給与が下がった」のに「物価は下がることに追いついていない」期間が生まれる.この期間は財,サービスの需要が減少し,雇用が減り,短期的には失業が増加する

ex) 2008年と2009年,アメリカ経済は深刻な景気後退を経験した.住宅市場による誤った投機が金融システムの問題を引き起こし,経済全体の所得を低下させ,失業が増加.
それを解消するために対案として減税と政府支出の増加を組み合わせた景気刺激パッケージを挙げ,中央銀行である連邦準備も貨幣供給を増大させたが,長期的は高インフレにつながる懸念があった.

マンキュー入門経済学 (第2版)

マンキュー経済学 I ミクロ編(第3版)