元旦は本屋さんにいって,何気なくいろいろな本を物色していると,
なんだかとてもおもしろそうな本を見つけたので買ってまりいました.

趣味で物理学

「趣味で物理学」(広江克彦さん / 理工図書).
という本.物理学のことをあまり知らない僕は,何度か物理学に挑戦し,
あまり時間を取れずに気がついたら本を読むのをやめ…
というのを繰り返していたので,今度こそ,と思って買ってみたのです.

EMANの物理学

で,よく見てみたら,この「趣味で物理学」はなんと,
有名な「EMANの物理学」というWEBサイトの書籍化だと聞いて本当に驚いた.
物理にそんなに詳しくない自分でも,数学や物理のことをググったりしたときに,
EMANの物理学にたどり着くことは結構あった.
だから,知らぬ間に僕はEMANの物理学のお世話になりまくっていたというわけで,
一気にこの本への親近感が沸いたような気がした(笑)

それにしてもこの「EMANの物理学」というWEBサイト,改めて見ると本当にスゴイ.
このクオリティでこの量のコンテンツが「趣味」だとは…!!
と圧倒されるのと同時に,「趣味だからこそ出来たものなのかも」とも思った.
何というか,コンテンツのあらゆる部分から,著者の広江さんの
「熱意」や「信念」,そして「愛」がめちゃくちゃ伝わってくるんよ.

目からウロコの内容.思わず先に進みたくなる.

で,「趣味で物理学」の中身については,当然昨日買ったばかりなので
まだあんまり読み進めてはいないのだけど,
今までに聞いたことがない「目からウロコ」の切り口の説明に圧倒されている.

僕が今までに読もうとし(て,挫折し)た力学の入門書の数々は,
たいてい,運動方程式

F=ma

が,せいぜい「車に乗っていると,加速している時しか椅子に押し付けられることはないですよね」
くらいの感じで最初に与えられ,これが力の定義なんですよという感じの説明がされる.

それに対して,この「趣味で物理学」では,最も基本的な量として,運動量

p=mv

を考える.この「運動量」の意味の文中での説明がまぁーとにかく明快で分かりやすく驚いた.

で,実は「運動量」を”変化させる”ものこそが「力」であり,
「物体に力を加えて運動を変化させる」ことは,「運動量の交換」に過ぎない!
という説明(力の定義)が,自分の頭にものすごくしっくり来て,

「こんな説明いままでに聞いたことなかったけど,めちゃくちゃ分かりやすい…!!」

と,学生時代に何度か味わったことがある脳汁大放出状態を久々に体感させていただいた.
力積が運動量の変化と等しくなることも,ものすごく当たり前に思えてこれまた驚愕.

他にも,高校物理で暗記させられる式

v^2-v^2_0=2ax

が,実はエネルギー保存則に他ならないという話にも感動.
「この式に意味はないが,計算が楽なので暗記しよう」
という,色々な参考書で見た説明は,一体何だったんだという感じだ.

こんな感じで,読み始めて数十ページで,はやくも今までに聞いたことがない
さまざまな切り口での解説に,物理学に対するワクワク感を
既に止められないものにまでされてしまっている.
まぁ,この時点でこの本を買った価値というのは間違いなくあっただろう.
(ていうかこの本,1,800円って安すぎる)

愛と信念

この本を読んでいてとにかく感じるのは,
あぁ,この人は本当に物理学が大好きなんだなぁ,ということと,

もしかしたら,高校物理なり大学物理なりで,「はいこれは暗記」「はいこれも暗記」と,
本質を完全に無視した詰め込み教育があらゆる教育現場で行われ,
それによって「物理嫌い」が量産されていることに
かなり納得行かない気持ちを持たれているのかもしれないなぁ,ということを感じた.

僕もいまは教育職をやっているけど,「数学が嫌い」と言っている学生さんを見るたびに
「ちがうよ,数学ってもっと奥深くて楽しいもんだよ!」
「君が習って,”嫌い”だと思っているものは,数学って呼べるもんじゃないよ!」
とか思ったりするんですよ.なんか,もしかしたらそれと同じなのかもしれないなぁーって.

著者さん自身は,物理学が本当に好きで好きで,
それを学ぶ過程でいろいろな感動と苦労を味わった経験があって,
その中で,著者さん独自の「分かりやすく面白い視点での物理学の楽しみ方」
がたくさんたくさん生まれていて,
「ほらね,こういうことが分かると,物理って面白いでしょ?」
と,さまざまなターゲットに向けて,とにかく伝えたくて,
その気持ちの具現化のひとつがこの「趣味で物理学」なのかもしれないな,と.

ごめんなさい,これは僕が読みながら感じただけで,
著者さんの真意は全然違ったものなのかもしれない
んだけどね.
(もしかしたら,「好きだからやってるだけで,そこまで考えてないよ」
 って,一蹴されてしまうかもしれないなぁ.笑)

僕も趣味で数学を発信しつづけるひとりとして

なんだか,僕は著者さんに勝手な親近感を覚えている.
というのも,趣味でWEB上に学習コンテンツを勝手に公開して,
それを出版しているという,なかなか珍しい体験をお互いにしているからだ.
ちなみに拙著は↓↓↓).
線形空間論入門

まぁ,公開しているもののクオリティだったりとか,統一感だったり,量だったり,
僕はまだまだ,広江さんには全然及ばないけれど…
こうして,本業をこなしながら,趣味でもアウトプットをしつづけ,それが人の役に立ち続け,
最後には本にまでなってしまうこと,本当に尊敬に値するなぁと思う.

こういう生き方をしていらっしゃる方を見つけることができて,
個人的には本当に嬉しいなぁと思った.自分もまだまだ頑張らないとなぁと決意を新たにしました.
…って,人をこんな気持ちにまでさせてしまうこの本,
 もはや著者の「生き様」まで詰まっている,本当に激アツな参考書なのではなかろうか笑

「趣味で」シリーズは3冊刊行中!!

広江克彦さんの「趣味で〜」シリーズは現在,

  • 趣味で物理学
  • 趣味で物理学

  • 趣味で相対論
  • 趣味で相対論

  • 趣味で量子力学
  • 趣味で量子力学

の3冊が,理工図書さまから刊行中.
僕も是非,すべて読ませていただきたいなと思う.
(著者の広江さん.twitterで反応していただいてありがとうございます嬉しいです)